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あさな・にすい
性別:
女性
職業:
お仕事のヒト
趣味:
ぐーたら。
自己紹介:
棺おけに片足突っ込みつつあるお年頃。
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重く響くエンジン音の中狭きベッドの上にて残りの金を数えし時、女のアナウンスイベントの予告を伝えり。
親子らしき婦人二人の話し声楽しげにカーテンの向こうを通り過ぎぬ。
通路に出るも、夜間にて甲板は閉鎖さる、ただ狭き窓に黒く波が荒く当たりたる様眺めらるなり。
ベッドに戻りてプレーヤを耳に器楽でも聴かむとするに、穏やかな眠りは終に訪れること無し。
この先の生活に古き鞄ひとつのみ。
退屈に紛れ中身をかき回せば最早使う宛ても無き鍵手に触れん。
その鍵用いし戸口思い起こすも、意味ある風景とて浮かぶことなかりけむ。
いつしか夜は明けロビーに大勢の客寄港を待ちわびし。
鞄をい抱きて3等船室を出るに船内すべて水平に横たわる蒼白の海光を得て華やかにざわめきたる。
子供を連れし若き夫婦方に並び制服制帽の乗務員の男出口脇に直立不動にて立つをただ眺めん。
ほどなく寄港の知らせ流れ海の果てにも見えつる陸の建物間近に迫り来る。
古風な汽笛は厳密な規則に規するのみならず客の憂愁の為に響き渡りたる。。
ただ同じ言葉であるのみの未知の国に辿り着きたる心地せん。
寝呆けし目に内海の静波日を受けたるも眩くも見え。
エンジン音停まりし時長き行列の後に続かん。
入り口迫る人の群れ短き船旅を惜しむことなく先頭を争いぬ。
延々と続きたる揺れに慣れし体に最後の渡し揺すりたるは解放の証にも見ゆ。
ターミナルのビル内に続きて陸地に入るは風情とても無し。
わずかに深く礼をしたる仕事就く人達そを醸し出せり。
下船口通路角降りしに、長身の男立ちこちらを探しおる。
僅かに切りたる黒髪の外にやや跳ね、黒きスーツなど着ている様も珍し。
近くに寄らば懐かしげに此方見下ろしぬ。
我が掌求め強く握りし時その眼潤み落涙す。
何処にぞ確からしき物あるや。
引き寄せて力込め抱きたる我が胸に一片の悲愴在るを見よ。
果てなん航路は今正に始まらんとす。
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